札幌市南区のアズマヒキガエル(国内外来種)

2019.06.20

アズマヒキガエル、通称ガマガエルやイボガエルと呼ばれることもあります。

アズマヒキガエルは、北海道を除く東日本では在来種として分布しているため、北海道で見られるアズマヒキガエルは国内外来種と呼ばれます。よく話題になる外来種同様、強い繁殖力を持つことも問題なのですが、アズマヒキガエルにはもうひとつ厄介な面があります。アズマヒキガエルは毒を持っていて、オタマジャクシにも毒があることが知られています。ヒキガエルのオタマジャクシは孵化直後の遊泳能力が低くほとんど泳ぐことができないため、同じ水場で先に孵化したエゾアカガエルのオタマジャクシの捕食対象となります。そしてヒキガエルのオタマジャクシを食べたエゾアカガエルは高確率で中毒を起こし死んでしまいます。エゾアカガエルはヒキガエルの毒への耐性が極めて低いうえ、死んだ仲間の遺骸も食べることがあるため、毒が連鎖し、アズマヒキガエルと産卵場所が重なったエゾアカガエルのオタマジャクシはほぼ全滅してしまいます。エゾサンショウウオもヒキガエルのオタマジャクシを捕食することがあるため、生息数が減少する恐れがあります。

札幌市南区では、2018年の夏頃からのアズマヒキガエルの目撃情報が寄せられ、成体も数個体発見されました。このことを受け、札幌市在住の両生類爬虫類にかかわる活動をする有志が集い、「両爬の生態系をかんガエル・札幌市南区チーム」(以下「かんガエル」)が発足しました。「かんガエル」では、ヒキガエルに関する勉強会、繁殖に集まりそうな止水などの現地調査、繁殖期における成体・卵紐(らんちゅう)防除、定期的な夜間ラインセンサス調査を行っています。さけ科学館も従来から行っている一般市民への外来種問題認知の促進活動に加え、「かんガエル」への情報提供、調査や防除個体の一時保管場所提供などの面で協力しています。

「かんガエル」で調査している場所は札幌市南区北ノ沢・中ノ沢・南沢、石山の一部、砥山の一部で、繁殖場所が確認されたのは北ノ沢周辺です。

産卵を初確認した4月25日から5月末日までの間に防除した数は、
成体400匹強、幼生1600匹強、卵紐 約750L(15Lバケツ約50杯)でした。


今まで存在しなかったエリアにこの数のアズマヒキガエルがいる、ということは在来のエゾアカガエル、エゾサンショウウオにとって大きな脅威となります。また両生類だけでなく、成体となったヒキガエルが捕食する昆虫等の個体数にも少なからず影響が出る恐れがあります。
アズマヒキガエル1匹の卵紐に含まれる卵の数は1500~8000個。

大きな河川などに流れて、分布域を拡げたら防除はどんどん難しくなり、エゾアカガエルなど在来の生物が減少していく可能性があります。

今後アズマヒキガエルの分布がどのように展開をしていくかまだわかりませんが、推移を確認しつつ、今後も札幌市南区をはじめとする生態系について、「かんガエル」とともに考えていきたいと思います。

写真提供:「両爬の生態系をかんガエル・札幌市南区チーム」

「両爬の生態系をかんガエル・札幌市南区チーム」まとめのページ


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